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「ランゴリアーズ」に見る宇宙的恐怖

 ここの所ゲームばっかりやっているので、なかなか何かを書こうという気にならないのだが、流石に頭に錆が浮いてきたので久方ぶりに何かを書いておこう。

「猟犬だったら尾も白い(尻尾は無いがな)」
ランゴリアーズ
スティーヴン・キング 小尾 芙佐 / 文芸春秋
※詳しい内容についてはコチラを参照して下さい。
 米国でテレビ映画化された物がN●Kでも放映されていたのでこの作品を知っている人も多いのではないでしょうか?もちろん僕はそれを見て知りました。
 普段、我々が生きる時間の外に飛び出してしまい、そこに棲む怪異に遭遇するというこの話。どうにも『ティンダロスの猟犬(F・B・ロング著)』が頭を掠めてしまう。キング先生の話ではこの物語は「時の過ぎ去った世界に迷い込んだ」という事ですが、これをティンダロスの猟犬で言及される「時間の曲線」から逸れてしまった(ロング先生曰く「人間は時間の曲線に沿って生きている」)とも取れないだろうか?時間の曲線に沿って生きる人間が脱線(?)したことで、本来立ち入ることの無い異界に立ち入ってしまったのではないか?更にそこが、「猟犬」たちの餌場だったのではないかとも…
 何故そんな事を考えたかというと、少なくとも世界一つ喰らって尚、貪欲に餌を追い求めるランゴリアーズの姿が「ティンダロスの猟犬」を彷彿としたのが一つ。さらに「ティンダロスの猟犬」でも精神が過去に遡った事で猟犬どもに存在を嗅ぎつけられたという時間遡行が事の発端であるという2点が原因。そのお陰で物語の終極、勇敢な男の犠牲により、人々は元の時間に戻りハッピーエンドとなる訳ですが…

 -一度嗅いだ餌の匂いを、彼らが簡単に諦めるものか?

と厭らしく考えてしまいます。それに旅客機に乗っていた人々が異界へと至る原因となった極光。それは猟犬が餌を得る為に協力を喘いだヨグ・ソトースの御業だったのではないか?(何処にも言及されては居ないので完全な妄想だが、時間と空間に強く縛られている猟犬が、それらを超越するヨグ・ソトースを信仰していてもおかしくは無いと思う)時の過ぎ去った世界から脱出する際、一人犠牲となることを選んだ男は極光の中で此の世ならざる光に包まれて消滅する。異界の光+時間の門≒ヨグ・ソトースとは些か安直ではあるがそう連想すると何だか楽しい。

「纏まらんので打切りw」
 そのような訳で、ランゴリアーズを見るとティンダロスの猟犬が頭を過ぎりますというお話でした。まぁ、これもあながち見当ハズレな話ではなく、過去に御大たちがSFホラーの礎を築いたのだから、現代作家の作品からそのニュアンスが感じ取れるの道理であると、言うことです。

ちなみに「ティンダロスの猟犬」はこの本で読めます。
クトゥルー〈5〉
ラヴクラフト オーガスト ダーレス 大滝 啓裕 / 青心社
by cor_leonis | 2006-06-12 00:59 | 今日の宇宙的恐怖
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