UNBALANCE

『新世紀ウルトラQ』
 「トワイライトゾーン」、「世にも奇妙な物語」などに代表されるオムニバス形式のミステリードラマ。1966年から放映された名作「ウルトラQ」もその一つである。そのウルトラQを新世紀に甦らせようと2004年に制作されたのが「ウルトラQ—dark fantasy」である!しかし、頑張って作った割りに、その内容は一部マニアの間でのみ良かった悪かったと論ぜられ、世間的にはまったく話題になることは無く終わった。斯く云う僕も放映当時は無関心で、自発的に放送を見ることは殆ど無かった。そんなある日、仕事でお付き合いのある方が「録画して毎週見ています」と仰るので思わず「いやーっ、僕も見たかったんですよネェ」と話を合わせた所、「では、DVDを焼いて送りますよ」なんて仰られる。翌週、それまで放映された話が纏まったDVDが本当に送られてきた。会社に。観ないで放置は不味いと、お礼と共に感想を伝えることを自らに課し視聴。内容はほぼ風評通りで映像のディテールが甘く、安っぽい合成が鼻に衝く箇所が多い。しかし、中には宇宙的恐怖を感じさせる良作もあり、想像していたより全然楽しめた。今となっては会う事もなくなってしまったが、DVDを焼いて送ってくださったS氏には大いに感謝している。

ウルトラQ—dark fantasy
武井 彩 相坂 きいろ 村井 さだゆき 梅津 裕一 長谷 敏司 上原 正三 太田 愛 岩佐 まもる / 角川書店
出版社コメント/憧れのマイホームを手に入れた主婦・加代子だったが、街のいたるところに書かれた“らくがき”に悩まされていた。消しても消しても翌日には再び現れる奇妙ならくがきは、いつしか加代子の家の中にまで現れて—「らくがき」。ほか、異星人との不思議な交流を描く「ウニトローダの恩返し」、失踪した人間たちの行き着く先は?—「楽園行き」、連続変死事件の鍵を握る黒頭巾の男の目的とは!?—「送り火」。あなたをアンバランスな世界へ導く4つの物語。大人気ドラマが完全ノベライズで登場!!

『円谷の宇宙から来る恐怖』
 あれから2年。古本屋で上の文庫を見つけ、何気なく購入。本の内容を確かめずに買ったのだが「らくがき」「楽園行き」というお気に入りの話が収録されており、得をした気分だ。そんな訳で気分がよいので、その2編についての雑文を認めておこう。(話の内容に抵触する箇所が含まれるので、これから本、もしくはドラマ本編を見ようと思われる方は… いないとは思うが、それらを見た後で読む事をお勧めする)

『らくがき』
 収録されている4編の中、最も怪奇色が強い話である。社会問題として度々ワイドショーなどで取り上げられる「落書き」と、最近耳にしなくなった「ミステリーサークル」を掛けた所が上手い。街の落書きが、実はミステリーサークル(円に拘っていないのでミステリーサインと呼ぶのが妥当か?)であった!と“日常と隣り合わせの怪奇”を巧みに描いている。特に話の落とし処はなかなかに魅せる。特に加代子が放った最後の言葉「あなたも、これから… がんばってくださいね」は、決して逃れられない“何か”が差し迫っているという戦慄と恐怖を視聴者、読者に齎してくれる素晴らしい演出であると共に、ここで感じる逃れられない、抗えないモノに抱く恐怖こそ宇宙的恐怖なのではないかと思う。

『楽園行き』
 この話、ドラマの売りは何といってもナレーションを担当する“怪奇俳優”佐野史郎氏がゲスト出演しているからに他ならないw。TBSドラマ「ずっとあなたが好きだった」でその存在を知って以来のファンである。氏の活動は俳優としては当然ながら、物を書いたり、バンドを組んだり、吸血鬼研究家だったり、ラブクラフティアンだったりと多岐にわたる。そんな氏が寄稿しているクトゥルー神話アンソロジー「秘神界 現代編」巻末の筆者紹介のなか、好きな神話作品の項にTRPG「クトゥルフの呼び声シリーズ」と書かれてあった。佐野史郎がd100を振る。そんな姿を想像した日から「いつかは氏とクトゥルフの呼び声をプレイしたい」と夢みるようになった。この夢を叶えてくれる銀の鍵が何処かに無いものか… と、話しているとこの話のウリが本当に佐野氏以外無いように聴こえてくるので物語についても何か触れておこう。この話、ドラマと小説では若干の違いがある。ドラマで楽園の人々を襲うのは、「鼠捕り」と呼ばれる放射線防護服のような物を着込んだヒューマノイド(人間かどうか分からないのでこう書いておく)と投光機を積んだ背の高い機械だが、小説では立方体が連なった殺人ロボットである。その描写はドラマでは人々が立ち向かっていく様を描いたのみだが、小説はスプラッターで描かれる。また、ドラマでは描かれなかった楽園のシカケ、所謂オチが小説では描かれている。コレについては正直「えーっ」と思ったが、落としどころとしては悪くない。まぁ、それについては読んで各々判断して下さいとしかいえない。
 ドラマの内容とは関係ないことだが、この回の撮影で使われた首都圏外郭放水路は先日完成し、実際に稼動しているが、まだ見学できるらしい。見学には予約が必要なのだが、これがまた中々取れない。汚泥で汚くなってしまう前に行っておきたいが、はてさていつになるか…
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by cor_leonis | 2006-07-17 06:43 | 今日の宇宙的恐怖
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